2018年の仮想通貨・ブロックチェーン領域と今後の課題について。投資、規制・法律、ビジネス、技術はどう動いてきたか?

こんにちは、ミヤモトです。この記事が本ブログの100記事目の記事になります!いつも読んでくださっているみなさんありがとうございます。

今回は節目の記事ということで、せっかくなので一年の最後の日12月31日でもありますので2018年の仮想通貨業界を分析し、自分が感じたことを少しだけ書いていきたいと思います。

投資文脈ー仮想通貨価格の大幅な下落。プレイヤーの退出、アフィリエイター・メディアの苦戦

2017年12月にビットコイン価格は一時期1BTC=240万まで上昇しましたが、今年始めに一気に下落。3分の1にまで落ち込みました。

その後も価格は全く上がることなく11月末ごろからさらに価格が下がり始め、12月31日現在では1BTCは40万円前後をうろうろしています。ビットコインキャッシュも11月にハードフォークを巡る一連の騒動があって以降価格がふるいません。

私も初めて仮想通貨を購入したのは12月ごろだったので、「価格ってこんなに下がるのか!」とびっくりしたのを覚えています。一応私は投機的文脈よりは投資文脈での保有がメインだったので別に焦ったりはしていませんが、仮想通貨に無限の可能性を感じ、多額の資金を突っ込んだ投資家の方々にとっては厳しい年だっただろうと思います。

他の通貨も同様で、イーサリアムも下落、名前も知らない草コインはみる影もありません(価格的な意味で)。価格が下落したことで投資家のみならずアフィリエイトで収益を上げることを目的としていたメディアにとっても苦戦を強いられました。ICOも全く流行しておらず、投資的な文脈で言えば仮想通貨市場は今年間違いなく苦しい年だったと思います。

規制文脈ー世界的な規制強化。複数ハッキングで世間の目と金融庁の厳しい視線に晒される仮想通貨業界

またこの一年は各国が仮想通貨に対してかなり規制を厳格化していたことも周知の通りです。中国、アメリカ(特にニューヨーク州)、韓国といった元来仮想通貨に対する姿勢が厳しいものであった国はさらに厳しくなりました。

世界的な流れとしては、

  1. ICOを禁止したり、もしくは事実上有価証券であるとの見通しから通常の金融分野と同様の規制を適用する見込みの国が増加。
  2. マネーロンダリングの防止のため、KYCを義務付けるための立法を行う国が増加
  3. 一方でマルタ、シンガポール、香港と言った「規制とビジネスのバランス」に配慮し、仮想通貨ビジネスに対し寛容な法規制の国・地域も。

おおよそこのような流れでした。

1.についてはScam(詐欺)コインが多いこと、既存の金融機関同様に健全な市場を育成する目的があったと考えられます。2.はマネーロンダリング(資金洗浄)およびテロ資金供与対策が目的です。詳しくは過去記事をご覧ください。

なぜ規制当局は仮想通貨を規制しなければならないのか

国内に限って言えば、年始のCoincheckによってこれまでの「金融庁とスタートアップの協調路線」は転換点を迎え、FATFの対日審査を控える金融庁は仮想通貨全般に対し厳しい姿勢を取らざるを得なくなりました。(これに拍車をかけたのが9月のZaifのハッキング事件であり、金融庁のみならず世間の目もさらに厳しくなりました。)

私も取引所を作りたい会社からなかなか審査が進まず苦しいという声や、スタートアップにとっても「どのビジネスモデルがどの規制に抵触するか?」がわからないことからビジネスをするのが怖い、という意見を多く聞き、ビジネスと規制の関係の難しさを実感しました。

技術文脈ー市場の冷え込みと対照的な進歩。ビットコイン・イーサリアムの壮大な夢、新興チェーンの登場、そして新たなビジネストレンド。

しかし市場の冷え込みや規制の厳しさとは対照的に、技術的には大きな進歩を続けたのが2018年だったんじゃないかと思います

仮想通貨を投機の文脈でみていない技術者にとっては価格の下落はさほど問題ではなく、むしろ地に足をつけて仮想通貨およびその基盤技術となるブロックチェーンの開発を進めることに邁進した一年になったことと思います。

具体的にはビットコイン・イーサリアムの二大通貨はこの一年で存在感を更にまし、不動の地位を築き上げました。と同時にユーザーの増加により処理が遅くなるいわゆる「スケーラビリティ問題」に直面した両通貨はそれぞれ、

  • ビットコインの「Lightning Network」
  • イーサリアムの「Plasma」「Casper」「Sharding」

 

などの解決策をそれぞれ生み出し、ひたすら研究と開発を繰り返してきました。どちらもまだ研究段階ではありますが、少しずつプロダクトが出来上がりつつあります。国内でもブロックチェーンスタジオHashHubがLightning Networkを利用したマイクロペイメントサービス「Denryu」を、福岡に拠点を置くCryptoeconomics LabがPlasmaを利用したDapps開発サービス「Plasma Chamber」のα版をそれぞれリリースして世界と勝負しています。

またイーサリアム上で作動していた通貨の多くがメインネットローンチして、独自の仮想通貨エコシステムを作り上げた年でもありました。例えばEOS、TRON、Vechainなどあげればキリが有りませんが、特にEOSが「イーサリアムキラーになるのではないか(=イーサリアム上ではDappsが多く動作し独自の経済圏を作り上げているが、EOSはこれを上回るブロックチェーンになるのではないか)」として2018年の後半に注目されるようになりました。

EOSはコンセンサスアルゴリズムにDPoSを採用しており、21人のBP(ブロック・プロデューサー)によってブロックの生成・承認行為がなされるため、スケーラビリティ問題が発生しません。ゆえに高速の処理が必要になるギャンブルゲームをはじめとして数多くのDappsがEOS上で2018年の下半期にはローンチされました。

 

これ以外にもトレンドとして2018年の後半に登場した大きなものとして

  • DEX。分散型取引所であり、従来の中央集権型取引所と異なりスマートコントラクトにより取引を可能にする、取引所2.0。
  • ステーブルコイン。法定通貨、仮想通貨などにより資産が裏付けされたコインであり、仮想通貨の価格下落にもものともせず仮想通貨経済圏の創出に貢献した。
  • STO/セキュリティトークン。従来のICOは各国規制当局により規制されたため、逆に各国の金融規制にしたがってトークンを発行する試み。過去記事参照

セキュリティトークン・STO(Security Token Offering)に関するブロックチェーン記事まとめ。ICOやユーティリティトークンとの違いから仕組みまで

などがあります。これらはいずれも登場したばかりですがすでに仮想通貨業界のトレンドとなっており、来年以降も活発に議論されていくことでしょう。

私自身はSTOをかなり細かく調べており、詳しくは過去記事をお読みいただきたいのですが、技術的な観点で言えばイーサリアムのPlasmaについて追っています。イーサリアムがワールドコンピュータを目指す夢を実現するには、どんなプロダクトであれPlasmaを早急に開発し、PoSに移行する必要があるだろうと思っています。またEOSのエコシステムについても調べていますが、EOSは非常に面白い仕組みであり長くなりそうなのでまた後日どこかで記事をかければと思います。

業界の変遷ー高校生・大学生を含め、若年層が多く参入。世界と戦うための技術を持つ企業、社会実装を目指す企業の登場

最後に業界全体の変遷についても技術的な視点から書いておきます。

まず2018年は私含め大学生、時には高校生がブロックチェーンに興味を持ち、業界に参入してくることが多かった年であったように思います。その過程ではやはり日本最大の学生ブロックチェーン団体CryptoAgeの存在は大きく、現在仮想通貨業界の大学生プレイヤーはもれなく一回は何らかの関係があったことと思います。

他にも大学生の活動団体が早稲田(Bitbears)、東工大(CryptoGeek)、東大(Bitpenguin)などに登場し、それぞれが時にはCryptoAgeやHashHub、Neutrinoと言ったコミュニティとも協力しあいながら自分たちの活動の幅を広げ、イベントの開催やコミュニティ運営、技術的な勉強と言った形で若い人のブロックチェーンへのプロモーションにコミットしていきました。

また2018年7月にはGunosyの子会社としてブロックチェーン専門企業LayerXが誕生し、その少し前には福岡でCryptoeconomics Labが誕生し、日本から世界と戦うためのプロダクト作りやビジネス支援に乗り出しました。

 

他にもメルカリの子会社メルペイやゲーム会社DMMと言った日本を代表する企業がブロックチェーンにコミットを強め、それぞれのビジネスへ活用し、ブロックチェーンの社会実装を実現するためにブロックチェーンのR&Dを積極的に進めています。本の出版やイベントの開催と言った形でその成果を業界でシェア、日本の仮想通貨・ブロックチェーン業界全体の技術的レベルの底上げに大きく寄与してきました。

メディアとしても従来の仮想通貨アフィリエイトを収益とするメディアに加え、ブロックチェーンの技術的側面に着目してブロックチェーンの技術・思想といったものをさらに社会に広めることを動きをする幻冬社の「あたらしい経済」等のような新たなプレイヤーが登場しました。他にも仮想通貨税制についての課題解決を目指す税制対策総合企業・Aerial Partnersなども誕生し、仮想通貨の普及を目指す際に問題となるあらゆる問題の解決を目指しています。

まとめー市場が冷え込み、金融規制も厳格に。世間の目も厳しくなったが、それでも技術的な進歩は続き、未来は暗いものではない

市場は回復の兆しもないまま冷え込み続け、投資家・アフィリエイター・メディアにとっては苦戦を強いられました。また規制も厳格になり、一部スタートアップにとっては当局との調整などに頭を悩ませたことと思います。

一方で技術的にはビットコインの他にもイーサリアムが成熟しつつあり、他にも新興通貨が誕生しました。新たな分散型ビジネスモデルとしてDEX、ステーブルコイン、STO/セキュリティトークンも登場しました。

ビジネス的視点で見ても国内だけを見てもかなり進歩があり、まだまだ未成熟な領域ではあるものの世界で戦えるプロダクトを作る会社が登場しましたし、「ブロックチェーンはどの分野でどのように活用できるのか?」と言った社会実装に取り組むエンタープライズ企業や課題解決に取り組むスタートアップが登場しました。

これらの理由から私は仮想通貨業界の進歩に対して悲観的な思いは全くありません。価格だけを見れば話は違うのかもしれませんが技術的な進歩はとまる事なく進んでおり、2019年も圧倒的スピードで想像もできないビジネスや技術の発展があるものと期待してやみません。という訳で今後も私は周りの目を気にする事なく、淡々と仮想通貨・ブロックチェーンの未来に自分の出来ることからコミットしていこうと思いますし、そう想うひとがこの記事を読んで少しでも増えてくれたら、とても嬉しいです。

長くなりましたが、みなさま良いお年をお迎えください!2019年もよろしくお願いします!