「債権」と「債券」の違いについて。この二つが別物って知ってましたか?

先日ツイッターでこのような投稿を見かけました。

確かにまわりを見てみても、法学部出身の方や金融関係の仕事をされている方でなければ両者の違いを意識することはなかなか無いのではないかと思います。

そこで今回は「債権」と「債券」の違いについて出来る限り分かりやすく書いて行きたいと思います。

債権とは何か?

債権とは、法律上ある権利を有する者(債権者)が特定の相手方(債務者)に対して一定の給付をするように要求することができる権利を指します。その逆に、債務者にとっては債権者から一定の給付を求められる義務であり、これを債務と呼びます。つまり債権とは債務は表裏一体なんですね。(権利義務関係がそもそも表裏一体なので当たり前なんですが)

例で言えば金銭債権が代表的です。あなたがコンビニでコーヒーを一本購入する行為を考えてみましょう。

この時、あなたはお店に対して代金支払債務を負い、同時にコーヒーを受け取る権利、すなわちコーヒー受け取りにかかる債権をコンビニに対して有していることになります。逆にコンビニにとってはあなたに対してコーヒー代を受取る債権を有しており、同時にあなたに対して商品受渡債務が発生しています。

これが債権および表裏一体の関係である債務の概念です。

債券とは何か?

では債券は何かと言えば、お金を借りる発行体が資金を調達する時に元本や利息と言った金銭債権の支払い義務を具現化させた有価証券の一種です。発行体として想定されるのは主に国や地方自治体、会社などと言った社会的に見て一定の信用のある者が想定され、これらは「国の予算をまかないたい」「会社の資金繰りのために」と言った目的でお金を借りたいと思った時に債券を発行します。それぞれが発行する債券のことを「国債」「地方債」「社債」などと呼称します。

このような国・地方自治体・会社などがお金を借りた相手に対してお金を借りていることを証明するものが債券であり、同時に貸した側にとってはお金を貸しており、元本や利息の請求が出来ることを証明するための権利の証明でもあるわけです。

なお「債券」という名前ではありますが電子化されていることが多く、必ずしも紙の債券とは限りません。

さてこの債券を巡る当事者の法律関係を整理してみましょう。

まずお金を貸した側とお金を借りる側(国、地方自治体、会社)がいるわけですが、前者は後者に対して元本および利息の返還請求権という債権を有しており、後者は元本および利息の支払債務を負います。この点でお金を借りている側が金銭債務を負う債務者、前者のお金を貸している人が金銭債権を有している債権者である、ということになります。

つまり債券というのはあくまでも金銭債権を巡る債権債務関係を表象する権利の具現化にすぎず、その点で「債権」のなかに「債券」が内包されていると考えることができます。

まとめると「債権」と「債券」は似て非なるものであり、債券という有価証券は債権の一種にすぎないということになります。今後もし「債権」「債券」という単語を見かけた時には、「誰の誰に対する債権か」「誰が誰に対して有している債券なのか」と言った点を考えてみると、より理解が深まるかもしれません。

なおこの辺の違いを理解するために私が個人的におすすめしているのはFP3級の本を読むことなので、暇な方はこちらの記事もどうぞ。FP3級は1週間勉強するだけで世の中で必要な最低限のマネーリテラシーが身につくので、受けなくても参考書を読んでみるだけでも勉強になるしコスパは最高です(というか、これ以上安くマネーリテラシーを身につける方法が他にない気がします)

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また金融商品全体についてはこちらの関連記事から解説しています。

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