なぜ今、大学生がブロックチェーンに注目するのか

こんにちは、megan(@megan_sunteam)です。

先日海外インターンに行っていた大学の同期と、彼の帰国後初めて会ってご飯を食べて近況を語り合っていたのですが、

  • 「なんで今ブロックチェーンにそんなに熱中しているのか?」
  • 「ブロックチェーンのどういうところが学生を惹きつけているのか?」

と質問されたんですね。確かにブロックチェーン業界にいない人には結構疑問が多い点だろうなと思ったので、この点についてちょっと書いておこうと思います。あまり体系だった答えにはなっていませんが、何かの参考になれば嬉しいです。

さて、人々がブロックチェーンにコミットする理由についてざっと考えたところ、大きく以下の点が考えられるかと思います。

  • ブロックチェーンが未来を変えるという期待感
  • ブロックチェーンは哲学を内包する技術である
  • 学問の総合格闘技である「ブロックチェーン」という技術
  • 天才の集う領域で限界に挑戦するワクワク感

前3つはブロックチェーンというテクノロジーそのものについて、最後の1つはテクノロジーに魅了された人々に関するお話ですね。以下順番に見ていきます。

ブロックチェーンが未来を変えるという期待感

よく言われる内容ですね。ブロックチェーンという「改ざんされることなく価値を移転することが可能である」新たなテクノロジーによって、世の中のあらゆる産業の構造が変わるかもしれないという期待感です。

実際に私もブロックチェーンに没頭することになった理由は「金融分野において仮想通貨が普及すれば、これまでにない新たな経済圏が作り出せる。そうなればこれまで評価されてこなかった人に正当な評価を与えることが可能になる」と当時考えていたからです。Gunosyの子会社(当時)のブロックチェーン企業「LayerX」のミッションに当初掲げられていた、「Evaluate Everything(=あらゆるモノを評価し、価値交換できるようにする)」に近い発想です。

他にも中央管理サーバが不要になることで医療、流通、官公庁や大学のアーカイブ整理、などあらゆる領域におけるいわば産業革命が可能になるのではないかという期待感があります。その辺は「ブロックチェーン 応用」「ブロックチェーン 活用例」でググれば記事がたくさん出てきますのでそちらをどうぞ。

その期待感・インパクトはインターネットの登場やスマートフォンの登場に匹敵するものになると多くの人が考えています。もっともこれはあくまでも期待感の話であって、どれくらい実現可能性があるのかは別の話です。よく「ブロックチェーンっていうのが流行っているらしいから、我々も何かやるか〜」みたいなノリでブロックチェーンの導入を検討する企業が話題になりますが、後述するようにブロックチェーンには課題が山積みなので、「ブロックチェーンで何ができるようになれば良いと考えているのか」「ブロックチェーンに期待することと実際にできることにはどれくらいギャップがあるのか」などはちゃんと検討した方が良いと思われますね…

ブロックチェーンは哲学を内包する技術である

次にブロックチェーンに魅了される理由として大きいのは、ブロックチェーンは単なる技術ではなく開発者たちの「decentralization(=非中央集権化)」という思想哲学が内包された技術であり、多くの人々がこの思想に賛同していることがあると思います。

そもそもブロックチェーンの始祖であるBitcoinのホワイトペーパーにも書いてありますが、元々Bitcoinはサトシナカモトという人物が2000年代後半の経済不況に対して不信感を抱き、「国家が管理できない通貨を作りたい」というリバタリアニズムに基づき設計、これに賛同したエンジニアらによって開発されてきた通貨です。リバタリアンの通貨と言っても良いでしょう。BitcoinのみならずEthereumも同様で、Ethereum生みの親Vitalik Buterinが分散化思想・非中央集権思想に基づいて開発していることは周知の事実のようになっています。

我々は普段無意識のうちに国家による制約を受け、GAFA(Google,Apple,Facebook,Amazon)などの大企業が提供するサービスの恩恵に預かっています。確かにこれらのcentralizedなサービスは中央管理している分効率的なビジネス・運営が多いですが、あまりに偏るのではなくて、ある程度分散化された社会になることで過度なリソースの集中を防ぎ、バランスが取れた世界になるのではないか、と考えるバランス思考的な人がその思想を内包した技術であるブロックチェーンに魅了されていくことが多いです。「ビットコイナー(=ビットコイン主義者)」なんて単語にはその動きの一端が垣間見えていますね。

エンジニアにとっては技術によって自分の思想を実現できる面白さがあるのがブロックチェーンといえます。

ブロックチェーンは学問の総合格闘技である

これは現在私がブロックチェーンに没頭している大きな理由です。仮想通貨およびブロックチェーンは単なるビジネスサイドにとってのバズワードでもエンジニアにとっての新しい技術でもありません。これまでの学問と比較し、人類の歴史を辿ってみた時、「全ての道はブロックチェーンに通ず」であることが体感できると思います。

例えば仮想通貨・ブロックチェーンの通貨的側面に着目した場合、当然経済学・貨幣学的な見地からその有用性が検討されると思いますし、Bitcoinが改ざんされないように用いられているハッシュ関数や楕円曲線暗号、またビザンチン将軍問題やEthereumで最近脚光をあびるzk-SNARKsやゼロ知識証明は暗号学・数学・論理学の知識も必要になりますね。さらにブロックチェーンのP2Pプロトコルとしての側面に着目した場合、既存のインターネットとの比較が必要になりますし、バーチャルマシンなどの議論をする段階で当然にコンピュータサイエンス の知識も必要になります。

また一見関係ないようにも見えますが法学との関連もとても深いものになっています。ブロックチェーンの思想として、「Code is Law(信用できるのは国家の作った法ではなくコードであり、コードに書かれた内容が自動執行されることで法律を観念する)」というものがあります。これは既存の社会契約論に基づいた国家のあり方とは全く異なる概念です。よりミクロな視点でいえば、仮想通貨の法的性質をいかに解するかが問題になりますし(有体物ではないが金銭ともアセットとも取れる不可思議な性質をしていますよね)、所有権をいかに解するかなどの問題もあります。

このようにブロックチェーンがどのようにすごいのかを真に理解するためにはあらゆる学問のこれまでの議論を辿る必要があります。まさに「全ての道はブロックチェーンに通ず」です。結果として理解へのハードルがかなり高くなってしまっているのが現状ではありますが、勉強ではないにしろ何かを学び続けることに面白さを感じる人にとっては、これほど面白い技術もないだろうと思いますし、今後たくさんの人たちが情報発信して知見が溜まっていけば理解へのハードルも下がっていくだろうと思います。

天才の集う領域で限界に挑戦するワクワク感

先ほど「ブロックチェーンの理解にはあらゆる学問の理解が不可欠である」と述べました。逆に言えば様々な学問に触れ、ある種教養とも呼ぶべき知見をためてくる努力を重ね続けた人たちがいち早くブロックチェーンの潜在的な可能性に気づいているとも言うことができます。ゆえに、業界の大学生には東大・京大・早慶のような世間的なエリート大学の人が多く、また開発者にも必然的に優秀な人が多くなってきます。世界的にもグローバルな大企業の幹部が大企業をやめてブロックチェーンをやりだすニュースがちょくちょくニュースで流れてきます。

そのような優秀な人たちが、山積する課題に対して自分のリソースを投下して日々開発しているのが、現在のブロックチェーン業界の状況です。ブロックチェーンの処理可能なキャパを取引量がオーバーしてしまう「スケーラビリティ問題」やブロックチェーン外部からの情報の入力の信頼をどう担保するかという「オラクル」を解決できるか?などなど、課題は山積みですが、天才秀才が集まる中で議論を重ね、限界を突破しようとチャレンジしている人たちを見ると、本当にすごい業界なんだなあといつも感じています。私ももっとインプットの質をあげていろんなことを理解できるようになっていきたいなあと思っています。

今回は大きく4つの要素に分解してブロックチェーンに人々が熱中する理由について書いてきました。が、他にも要素はあったように思うし、これ以外の要因で業界にいる人はたくさんいるので、あくまでも業界にいる個人が自分の周りの人たちを見ていて思った一意見として参考にしてくだされば嬉しいです。

では!

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