法律事務所ZeLo・小笠原匡隆弁護士が語る、仮想通貨・ICO規制の現状とトレンドの話。ベンチャービジネスから着実なビジネスへ。

今日は早稲田大学で実施されている「ブロックチェーンの動向、スタートアップとキャリア」というイベントに参加しました。すでに終了したイベントですが、タイムラインなど詳細なスケジュールについては公式URLに記載されています。

今回はその中でも仮装通貨およびICO規制の最新動向についての話があったので、内容について簡単にまとめておこうと思います。

法律事務所Zelo 小笠原先生

今回お話いただいたのは法律事務所Zeloの小笠原先生。小笠原先生は早稲田法学部3年卒業後、東大のロースクールへ進学。司法試験合格後は森濱田法律事務所で企業法務に従事。現在は自身でAIサービスを提供するスタートアップと提携し、AIによる法律相談サービスを提供しているスーパーエリートの弁護士です。

小笠原弁護士は書籍も出版されています。ブロックチェーンのビジネスを実際に行なっている・これからしたいと思っている事業者にとって欲しい知識が一冊にまとまっており、必須の本でしょう。

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今回小笠原先生は、仮想通貨を巡る規制の現在に至るまでの流れと、今後の規制の方向性についてお話くださいました。

 

現在に至るまでの規制の流れ

始まりは2014年のマウントゴックスの破綻です。マウントゴックス事件の一連のハッキング騒動を受けて、2017年に改正資金決済法が成立。法律上「仮想通貨」と言う概念が登場しました。
マウントゴックスについては盗難されたビットコインを巡る裁判例がすでに出ており、私も過去に解説記事を書きましたので、よければこちらの関連記事をお読みください。
その後しばらくは当局と業界の開発者は良好な関係を築いていましたが、2018年初頭にコインチェック事件が発生。580億円相当のNEMと言う仮想通貨がハッキングされてしまいました。
このような流れを受けて金融庁は仮想通貨交換業等に関する研究会を設置し、金融庁内での勉強会を今年初頭から開始しました。すでに10回近く実施されており、金融庁のHPにも資料が追加されています。
金融庁は現在規制に関しては2017年当時と比較すると厳格な態度を取っています。これは私が過去記事でも書いたのですが、資金洗浄などの犯罪防止や投資家、健全な市場の保護のためです
しかし9月に再びZaifがハッキングに遭い、約70億円の資金が盗難されました。そのため自主規制を含め、より日本の当局の仮想通貨に対する態度は厳しいものになっていくと思われる、とのことでした。

 

今後の仮想通貨に対する規制の方針

さて今後の規制についてですが、先週ニュースにもあったように、近々法改正があり、自主規制団体による自主規制もされていくものと思われる、とのことでした。
個人的には自主規制団体というのは非常に面白い仕組みだと思っています。アメリカや中国、シンガポールのように、基本的には諸外国は規制については当局が主導して実施しています。一方で日本は金融庁も規制するもののそれとは別で業界による自主規制団体が発達し、金融庁に代わって業界の自主規制ガイドラインを作成しているわけです。
よく自主規制団体のことを既得権益の塊である、と揶揄するような意見もみられるのですが、そもそもなぜ自主規制団体を金融庁が支援しているのか、少し考えてみましょう。
現状不正アクセスやハッキングになんども遭い、価格も乱高下する不健全なマーケット、そして立ち入り調査をしてみたら利用者の保護もまだまだ課題がある。このような状況の中で、仮想通貨を金融庁が一から勉強するよりも、すでに業界についての知識が豊富な団体に対して情報の提供をお願いしたり、どうすれば業界の利益になるような規制のスキームを作れるか相談する方が効率が良いとも考えられるわけです
それゆえ一般にどの産業においても日本には海外に比べてこのような自主規制団体や協会が多いとは言われていますが、ブロックチェーンもその例にもれず、自主規制団体と金融庁が協力して二本柱で規制をしているわけですね。
ではどのような対応が必要になるか?という話ですが、小笠原先生によれば以下の通りでした。
  • 顧客資産の管理と保全。コールドウォレットでお客さんの資源を確保しないといけなくなるでしょう。
  • 倒産リスクに備え、信託義務を付加することも考えられます。
  • 業務の適切な遂行の確保。取引の透明性確保、過大広告の禁止などは当然考慮されるべきと考えられます。

おおよそこのような内容での規制になるだろう、とのことでした。

成熟した市場へ

また小笠原先生は最後に「仮想通貨の業界自体も、ベンチャーのビジネスから少しずつ成熟したビジネスに移行しているところ」との感想を述べておられまして、私もこれに同意しています。

最近はブロックチェーンを単なるバズワードとして消費し、無限の可能性がある!と語る風潮が薄れ、ブロックチェーンはどの領域に適していてどんなことには不向きなのかを少しずつ試行錯誤して語られるようになってきています。このように仮想通貨およびブロックチェーンについても地に足がついた開発が進んでいますし、規制の方針も定まってくるでしょう。もう2018年も終わりですが、2019年は投機の先が注目される年になりそうですね。

仮想通貨に関しての規制周りを実務的な側面からもっと知りたい方は小笠原弁護士はじめ法律事務所ZeLoの先生方が執筆されたこちらの書籍をどうぞ。

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