Defi銘柄「Vega Protocol」。提供する分散型デリバティブプラットフォームのインパクトとは

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ご無沙汰しております、megan(Twitter:@sunteam097)です!

最近は忙しくてなかなか暗号資産・ブロックチェーンに関する記事をかけておりませんでしたが、にわかにTwitterで話題になっているDefi銘柄の「Vega Protocol」が面白く、またよく作りこまれたプロダクトだったため、何回かに分けて本銘柄を紹介してみたいと思います。

Vega Protocolは公式HPによれば「分散型デリバティブプラットフォーム」である、とされていますが、いったい既存のデリバティブ市場とどのような違いがあるのか、そして他にも同様の機能を提供しているDefi銘柄とVega Protocolがどう違うのか、概観していきたいと思います。

Vega Protocolの概要

Vega Protocol(以降、「Vega」)はブロックチェーン上の金融サービス「Defi(Decentralized Finance)」の一種であり、デリバティブ(金融派生商品)を作成・取引することができるツールです。

 

デリバティブ(derivative/金融派生商品)とは

株式・金利・為替といった原商品および通貨売買の取引を組み合わせた金融商品です。

有名なものに、「先物」「オプション」「スワップ」があり、それぞれ

  • 先物:特定の原資産に関して、特定の期日に決められた価格で売買する取引
  • オプション:先物取引同様、特定の原資産に関して特定の期日に決められた価格で売買することができる「権利」を売買する取引
  • スワップ:等価のキャッシュフロー(通貨、金利等)を交換する取引

といった特徴があります。またこの3つを組み合わせたり、原資産として株式・金利・為替以外にも多種多様な資産を揃えることで、より複雑な商品も生み出されているのが、現在の金融市場です。

通常デリバティブ商品は証券会社を通して購入・売却の注文を出し、証券取引所にて約定等の取引を行いますが、この注文や約定といった処理を全てアルゴリズムで実現し、プロトコルの上に載せているのが、Vegaをはじめとする多くのDefiプラットフォームとなります。

デリバティブ市場を提供している多くのDefiプラットフォームはEthereumをベースのチェーンとして選定していますが、VegaではTindermintベースの独自チェーンを採用しており、現在テストネットが公開されています。

ではなぜアルゴリズムを活用したDefiプラットフォームが生まれたのでしょうか。そしてその中でも、Vegaはどのような課題を解決しているのでしょうか。デリバティブ市場をとりまく課題を順番に見てきましょう。

現在のデリバティブ市場の課題

現在の金融市場で提供されているデリバティブ商品を取引する際は、先述したように、証券会社を経由して購入・売却の注文をだし、証券取引所がその注文を一か所にまとめ、約定させる役割を果たします。

しかし一般にデリバティブ商品を作成したい場合、そもそも作成自体に多額の費用がかかるうえ、規制当局の承認を待たねばなりません。

 

特に原資産として株式・金利・為替以外のNew Assetを選択する場合、そのコストは増します。ビットコインの先物市場がシカゴ証券取引所に上場承認されるまでに年単位の時間がかかっていることが象徴的ですが、バイオ・ナノテクノロジーのような資産は本来より多くの人が潜在的にニーズを感じている商品であるにもかかわらず、作成にかかる経済的・時間的コストが障壁となってしまっているのです。結果取引する側にとっても、多くの商品が選択肢としてあることでリスクヘッジを実現する、という機会を失ってしまいます。

Defiデリバティブ市場の課題

これらの課題を解決しようとしたのがDefi、すなわちブロックチェーン上に金融機能を載せたプラットフォーム群でした。デリバティブDefiにおいては、上記のような経済的コスト・時間的コストの問題を解決できたことに加え、プロトコルがマッチングを実現しているため、ユーザーにとっても証券会社や証券取引所の営業時間を気にすることなくいつでも全世界と商品を取引することが可能です。

Gas代

しかし、多くのDefiはEthereumベースで作成されており、あらゆる取引を実行する際には常にEthereumに対して支払う手数料(Gas代)を考慮に入れなければならなくなります。

Ethereumの価格が高騰している現在、Gas代も高騰しており、少額取引の場合ですとGas代が取引額を上回ってしまい結果赤字になる、ということが発生している状況です。

フロントランニング

加えて最も大きな問題が、現在多くのDefiプラットフォームを悩ませている、MEV(Miner Extractable Value)と呼ばれるフロントランニング行為です。

フロントランニングとは

一般に金融商品の取引業者やスタッフが、顧客の売買注文を成立させる前に、顧客の注文よりも有利・同一の価格で、同一銘柄の売買を行ってしまうことです。取引業者はノーリスクで注文できてしまうため、金融商品取引法で禁止されています。

Gas代やMEV問題は、Ethereumがオープンプラットフォームであるという仕様に起因する問題であり、Defiのユーザビリティを下げる原因となってしまっています。

 

Vegaがどう課題を解決するのか

現在の金融市場で起きている課題、Defiの金融市場で起きている課題を、独自機能・技術を採用することで解決しています。

まず、Vegaにおいては、自身が持っている資金額に関係なく、Vegaにアクセスできるユーザーであればだれでも商品をワンクリックで無料で作成することができます。作成自体にかかる経済的・時間的コストが解消されており、流動性を確保さえできれば、誰でも自身が作成した金融商品を通して利益を得ることができます。

加えて「損切り」のような、資産額が一定以下になった場合のポジションの自動清算に関してもプロトコル上で自動で実行されるため、ユーザーの資本効率も上昇します。

また独自チェーンに「Wendy Protocol」と呼ばれるプロトコルを採用しており、MEVの問題を解決しています。本プロトコルを利用すると、ノードが不正行為を行うことができず、結果MEVが発生しない仕組みとなっています。EthereumのGas問題を解決し、デリバティブ商品の作成・取引という目的に特化して開発された独自チェーンであるため、注文を出す際にはGas代はかからず、取引が約定した際にのみ、手数料が引かれる仕組みとなっています。

いかがでしたでしょうか。Vega Protocolが解決しようとしている課題に関して、少しでも伝われば幸いです。もしこの記事を読んで興味がわいた方は、Vega Protocol公式サイトもチェックしてみてください。

そして6月2日より、Coinlistにて抽選が開始とないrますので、もしCoinlistにて参加予定の方は忘れずにチェックしてみてくださいね!

 

次の記事では、実際にVega Protocolでは何ができるのかという「What」の部分と、それを同技術的に実現しているのかという「How」の部分、そして開発ロードマップやチームメンバーに焦点を当てて、よりVega Protocolを掘り下げていきたいと思います。

 

本記事がVega Protocolの理解の一助になれば幸いです。参考になった、よかったという方はぜひ下のボタンからシェアしてくださると嬉しいです!