【書評】『人生は、運よりも実力よりも「勘違いさせる力」で決まっている』は世の中のルールを可視化した良書だった

先日『人生は、運よりも実力よりも「勘違いさせる力」で決まっている』という本を読みました。以前から興味はあったのですが知人から譲ってもらったので、少しレビューと自分の考えを書きたいと思います。

この本の著者・ふろむだ氏は「分裂勘違い君劇場」というブログの著者であり、このブログはものすごいPV数を叩き出しています。そんなふろむだ氏曰く、成功は実力ではなく運と「錯覚資産」によって決まるとのこと

錯覚資産とは他人が自分に抱く錯覚、すなわちフィクションや幻想のようなものであり、なおかつそれが自分に好都合なもののことをさします。

よくTwitterをみていると「なぜあの人は大した実力もないのにフォロワー○○人もいるんだろう?」とか「なぜあの人は評価されているのだろう?」とか感じることがあると思いますが、彼の意見によればこのような成功や実績は本当は実力によって達成したものではなく、錯覚資産の割合が多いということになります。

私は実力主義的な思考が好きですしそう思っている人も多いと思うのですが、ふろむだ氏によれば錯覚資産を理解しないと詐欺に引っかかったり周囲を詐欺や騙し合いに巻き込んでしまうこともありますし、

錯覚資産により良い環境を手に入れ真に実力を手にし、成果を出すことで錯覚資産をまた増やす…という無限ループにより人生をより「イージーゲーム」にしていくことができるとのこと。これには確かにと頷くところがありました。しかも運と違って錯覚資産はある程度コントロールすることができます。そのコントロールの手法についても、本の中でより具体的に言及されていて、とても参考になります。

錯覚資産と心理学

さて錯覚資産にはどんな種類があるかというと、

  • ハロー効果(一つプラスの属性があると他の要素もよく見えること)
  • 少数の法則(統計上有意とは言えない少数のサンプルを真実であると思い込む)
  • 運を実力と勘違いすること
  • 後知恵バイアス(物事が起きてからさも起きるのを予測していたかのように脳が辻褄を合わせること)
  • 利用可能性ヒューリスティック(思い浮かび安い情報のみで判断する)
  • デフォルト値バイアス
  • 感情ヒューリスティック(好きなものにはメリットが多くリスクが少なく、嫌いなものはメリットが少なくリスクが大きいと思い込むこと)
  • 置き換え・すり替え
  • 一貫して偏ったストーリーを真実と思い込む

などがあり、これらは全て脳が①一貫性②原因③結果を求めがちなことに起因しているとのことです。

個人的には脳が無意識にそのように判断してしまっているという事実は少々ショックでしたが、確かに「言われてみれば…」という感じはします。実際ハロー効果はちょくちょく感じていて、例えば肩書きや学歴は本来その人の発言とは論理的に考えれば全く関係ないにも関わらず、「東京大学卒業」とか「マッキンゼー出身」のコンサルタントや銀行員、ビジネスパーソンの話はよく拡散されますし商談の時にもウケが良いですね。またフォロワーの多いインフルエンサーの本がよく売れるのも、インフルエンサーのフォロワー数をみてインフルエンサーに実力があると思うからです。

これからの時代、個人のブランディングが重要になってくる中でハロー効果はますます重要になってくるのだろうなと感じました。

このような錯覚資産はふろむだ氏によれば「錯覚の種類・それぞれのインパクト・錯覚によって与えるインパクトの範囲により評価できるが、ハロー効果と思い浮かびやすさを掛け合わせ、特に影響力のある人に伝える手法と数字によるインパクトを狙うのが良い」とのことです。

実際にハロー効果を存分に利用しているインフルエンサーの方々が「一日30ツイートしよう」「ブログをたくさん書け」「動画をたくさん投稿しろ」と言っているのはまさにこのことなんだろうなと感じますね。個人的にもタイムラインをみていて実際に大量にツイートを投稿する人が増えたな、という体感もあります。おそらく私のタイムラインにいる人はそのようなインフルエンサーをフォローしているのでしょう。

書評なので差し障りのない程度に中身で気になった点を書きましたが、本書の中ではより詳しく

  • なぜ錯覚資産が必要か?
  • 錯覚資産は欺瞞ではないか?実力でのし上がるのがクリーンではないか?
  • 錯覚資産はどう作るのか?

と言った点についても具体的に説明されていますので、興味をお持ちの方はぜひお読みください。とても良い本でしたし、誰も知らされていない世の中のルールを理解した上でいかにゲームを有利に進めるか、かなり示唆を得られると思います。