金融商品の基本。デリバティブ、先物、スワップ、オプションの単語の違いとは

金融の全体像を把握するために、様々な金融商品、特にデリバティブについてまとめました。

 

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「デリバティブ」とは?

そもそも「デリバティブ(derivative)」とは「派生」の意味を表す英単語であり、金融文脈では「金融派生商品」とも言われます。
例えば株式(エクイティ)の派生商品は「エクデリ(エクイティ・デリバティブ)」、会社の債権(クレジット)の派生商品は「クレデリ(クレジット・デリバティブ)」と呼称されます。
デリバティブ商品は無数の種類があり、なかなか全体像を掴みにくいのですが、大きくは「スワップもしくはオプションを使っているもの」と考えるとわかりやすいようです。

資金調達の3手段-ローン、債券、株式

そもそも会社が資金調達するときの手段としては
  • ローン
  • 債券
  • 株式

の手段しかありえませんが、ローンは金融商品ではないため、実質的に金融商品として取引されるのは債券か株式となります。

ローンと債券は会計上の概念では負債、すなわち借金です。一方で株式は資本、すなわち返さなくても良い自分たちのお金です。ゆえに資本が多いほど会社は健全であり、総資本(負債+借金)のうち自己資本の占める割合のことを自己資本比率と呼びます。

さて、債券と株は投資する人が直接的に資金を投資することができ、第三者が間に介在していません。この点で「債券と株は直接金融である」と言い、一方で銀行から企業に対するローンは投資家となる預金者が直接投資する企業を選べるわけではありません。この点で「ローンは間接金融である」と言います。

 

なお「債券」と「債権」は読み方こそ同じですが全く別の概念ですので、必要な方はこの記事をお読みください。

「債権」と「債券」の違いについて。この二つが別物って知ってましたか?

スワップ・オプション取引

さて会社の資金調達手法のなかで金融商品は債券と株式です。
債券と株式に対する投資家のインセンティブはそれぞれ、
  • 債券は満期が決まっており、満期到来で企業は全額返済せねばならないが、その前に定額の数パーセント分の配当がある
  • 株式は会社の成長とともに配当がもらえ(インカム・ゲイン)、また売却して利益を得ることもできる(キャピタル・ゲイン)

と言う点にあります。

そしてこれら二つの商品をスワップ・オプションして、証券化したり、債券に株のような性質をつけてみたりと複雑な商品性を持たせているのがデリバティブ商品です。

 

「商品性」

基本的にはデリバティブ商品のほとんどは債券の商品化であり、エクイティは少ないようです。これはエクイティにはあまり商品性がないためです。

商品性とは

1.投資先の会社が倒産した時に金が返ってくる順番が早いか遅いかを操作することができるか

2.債券・株式自体の性質を変えること

の2点ができるかどうかを指します。これら2つができるかどうかが多様な金融商品を様々な手法(スワップ・オプションなど)で生み出す根拠となっています。

1点目については会計の概念が関係します。

そもそも会社が倒産した時には会社に残った資産を債権者に返却せねばなりませんが、この際に「誰に対して先に返すか?」と言う返済順位が決まっています。例えば一般債権者は返却が遅いですし優先権を持っている債権者は優先的な弁済を受けることが可能です。

この返済順位を操作できる金融商品を生み出すためにされるのが所謂トランシェ分け(金融商品などをリスク別に特定の条件で切り分けたもの。切り分けることがtranching/トランチング、切り分けたものがtranche/トランシェ)です。

社債の場合、優先出資証券、中間のメザニン債、劣後債などに分割され、それぞれが投資家に販売されることになります。

ただこれはあくまでも弁済の順位を決定づけるものに過ぎず、より重要なデリバティブの源泉となる商品性が2点目の有価証券の性質自体を変容させるスワップとオプションです。

スワップ

スワップと言うのは同じ種類の通貨で固定金利・変動金利と言った異なる金利を当事者間で交換=スワップする取引です。
例えばほぼ同条件のオーストラリアと米国のそれぞれの通貨建ての債券があったとしてその通貨だけをスワップしたり、オーストラリアドル建て債券の配当が年に2回あるならそれを米ドルでもらうようにする、と言ったものは通貨スワップになります。
要するにその交換について合意が得られればなんでも交換できるのが、スワップ取引の特徴です。

オプション・先物取引

オプション取引と言うのはある原資産について一定の日付や条件に対しての価格・レートの取引を行うものです。エンジニアにとってのif文で、「○○と言う条件を満たした時に△△と言うレートで取引する」と言った感じです。
この点先物取引もオプション取引に含まれます。
具体的に、今日経平均が20000円の商品が一年後に上がるか下がるかを予想するシーンを想定します。
この時に上がると思った人のなかで23000円まで上がると思った人は今20000円で購入する権利を得られた方が得をするので、この株式をオプション取引によって購入できます。
要するに「将来のその債券・株式の権利を買える・売れる」と言うのがオプション取引の特徴です。

オプション取引はなぜ必要?

ここでオプション取引がなぜ必要か考えてみると、金融商品としての需給もありますが、根源的には「リスクをコントロールするため」であると言えそうです。
例えば日本企業が商品を米ドルで購入した時、支払いタイミングと商品が届くまでには数ヶ月かかることがあります。この時輸出入企業にとっては先の価格を読めないのはリスクであり、それならば価格を確定させ、リスクを確定させ、支出を確定させることができる方が取引全体にかかるリスクを抑えることができます。これがいわゆる「先物取引」なわけですが、先物取引および拡大されたオプション取引によって不要なリスクを減らし、必要性・利便性を向上させていると考えるのがわかりやすいです。
ストックオプション(SO。企業の従業員や経営者が自社株を購入することができる権利)も同様のオプション取引です。ストックオプションも企業が上場して価格が上がったら売れば良いし、下がったら権利を行使しなくても良い、と言う点で典型的なオプション取引であると言えます。
今回は長くなりましたが金融商品、特にデリバティブ、スワップ、オプション取引についてまとめました。次回以降も引き続き金融の全体像を把握するための記事を書いていく予定ですので、お読みいただけると嬉しいです。