仮想通貨と闇Webの「匿名性」は捜査を難しくする

過去記事で、シルクロード事件について何回か書きました。
このシルクロード事件のような仮想通貨を用いた資金洗浄に対する捜査は難しいものがあるので、その点私見を書こうかなと思います。

闇Webと仮想通貨

最大の闇Web「Silk Road」と仮想通貨

シルクロード事件とマウントゴックス事件

新技術の匿名性を利用されると、真相は闇の中になってしまう

新技術の匿名性を用いた違法行為に対する捜査がしばしば難しくなるであろうという問題については、米国のシルクロード事件への捜査の状況を鑑みるに、日本ももはや対岸の火事とは思うべきでないだろうと思います。現在特段日本で問題になっているビットコインの事件にはマウント・ゴックス事件やコインチェック事件がありますが、これも多くの謎が残されたケースであり、真相解明にはほど遠いでしょう。

追記:Zaifもハッキングされてしまったので、金融庁は今頃頭を悩ませているのではないでしょうか。。。(2018/11/15)

仮想通貨を用いた資金洗浄は、日本でも行われている

匿名性を用いた犯罪行為として代表的なものであるマネーロンダリングについては、実際に日本でも逮捕者が出たケースがあることから、その危険性が容易に認識できます。

これは 2017 年 1 月に不正入手した他人名義のクレジットカードの情報で購入したビットコインをマネーロンダリングする目的で日本円に換金し、他人の口座に送金したとして、警視庁サイバー犯罪対策課などが 30 日、組織犯罪処罰法違反容疑で 2 人の男性を立件したものです。

仮想通貨の使用拡大とともにこのような事件も増えていくものと予想されます。

結局いたちごっこを繰り返しているだけ

コインチェックのNEMハッキング事件も、マウントゴックスのビットコイン大量消失事件もいまだ事件の多くが謎に包まれていますが、個人的にはCEO のカルプレス被告が闇 Web である Silk Road の黒幕であるとの報道は、その真相解明の一助となるであろうと思います。

また昨年閉鎖された米国の巨大な闇Web「アルファベイ」についても、アルファベイそれ自体は摘発されましたが、同種の闇 Web は日々登場しており、各国の捜査機関といたちごっこを繰り返しているのが現状です。シルクロード自体もウルブリヒトが創設した(とされる)オリジナルのサイトは閉鎖されたものの、その後にシルクロード2.0や3.0が登場していることから、やはり完全な撲滅は難しいのだろうと思います。しかも現在のSilk Road3.1では匿名通貨Moneroでの決済も可能なようですので、いよいよ犯罪者の特定は難しくなるのではないでしょうか。

以上に考察したような新技術の性質と闇Web の特性を鑑みると、少なくともこのような闇 Web において当面ビットコインが決定的な決済手段として使用され続けるでしょうし、ゆえにいまだ運用が始まったばかりである新技術・ビットコインの動向を注視しながらも、その悪用に対処するための早急な法整備が待たれるといえます。もちろんイノベーションを阻害しないで欲しいので、そのバランスが難しいだろうと思われますが…

 

具体的な法的検討はこちらです。少々法学部向けです。

サイバー犯罪と米国法の域外適用

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